​患者さんへ

糖尿病性腎症に対する

先進医療のご案内

LDLアフェレーシス療法について

糖尿病性腎症の中でも、タンパク尿が多くLDLコレステロールが高い患者さんは腎機能低下が早いことがわかっていますが、未だ有効な治療法はありません。 『LDLアフェレーシス療法』は、血清中のLDLコレステロールを取り除く治療法で、腎機能低下を抑制し(血清クレアチニンを改善)透析導入の回避や遅延が期待できます。糖尿病性腎症に対しては全国で指定された施設でのみ受けることができます。(保険診療と併用)

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先進医療に関連する研究の詳細については、名古屋大学医学部附属病院『先進医療案内』ページ厚生労働省「先進医療の概要について」をご覧ください。

連絡先

名古屋大学大学院医学系研究科

病態内科学講座 腎臓内科学
丸山 彰一

電話
FAX

052-744-2209

糖尿病性腎症の先進医療(LDLアフェレーシス療法)

1.糖尿病と透析

透析患者数は年々増加の一途をたどり、2020年では34万人を超えています。透析に要する医療費は一人につき1年で500万円かかっています。

また、透析を始める原因の1位は糖尿病を原因とする腎疾患です。その腎疾患を糖尿病性腎症といい、糖尿病の三大合併症の一つです。

そのため、糖尿病による透析患者を減らすことは喫緊の課題です。

2.慢性透析患者数の推移

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3.糖尿病の三大合併症

糖尿病は尿に糖が出るだけの病気ではなく、慢性的に血糖値が高い状態が続く全身の病気です。血糖値が高い状態は血管を傷つけ、その結果として、三大合併症である神経障害、網膜症、腎症を発症します。

しかし、糖尿病は初期には自覚症状がありません。高血糖、高血圧、脂質異常症、塩分過多といった状態が続くと、最終的に足の壊死による下肢切断、失明、透析が必要な慢性腎不全などに進展します。

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4.尿タンパクは腎臓からのSOSサイン

糖尿性腎症の最初のSOSサインはタンパク尿(アルブミン尿)です。健康診断などで行われる尿検査で尿タンパクの値が+(プラス)になっている場合、すでに糖尿性腎症を発症しています。定期的な尿検査が重要です。

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5.タンパク尿と糖尿性腎症の進行

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尿タンパクが検出されるには段階があります。

初期に検出される少量の尿タンパク(黄色枠)は微量アルブミンと呼ばれています。微量アルブミンが出ているうちに食事療法や薬剤療法などで治療をし、生活習慣を見直すことで、これ以上の悪化を防ぐことが可能です。

微量アルブミンがでる期が過ぎると、尿タンパクが増加します。

大量の尿タンパクが出始めると腎機能は急速に悪化し、透析が必要な慢性腎不全に至ります。

6.糖尿病の悪化要素と治療

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糖尿病患者における腎機能悪化要素として、高血糖、高血圧、脂質異常症、タンパク尿が挙げられます。

それぞれの病態に対する治療として

・高血糖には血糖降下薬(SGLT2阻害薬など)

・高血圧には降圧薬

・脂質異常症にはコレステロール低下薬

・タンパク尿にはRAS阻害薬(降圧薬)

があります。

担当医と相談して、薬での治療に加え、食事の見直しや、運動もしっかりと行いましょう。

7.脂質異常症と血管障害

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血糖と脂質には大きな関係があります。

普通血糖値が高くなると肝臓が余計な血糖を脂質に変えます。インスリンとよばれる血糖値を下げる唯一のホルモンが、血糖を脂質に変えることにより、血管内の糖と脂質のバランスが保たれます。

しかし、糖尿病ではインスリンの働きが悪くなり、血糖が高くなることで、脂肪分解を行っていた酵素が働かなくなります。そのほかにも、多くの要因が重なり、脂質異常症となります。

その結果、血管内には糖と脂質が多くなり、動脈硬化が進展し、血液の流れが悪くなります。

8.新しい糖尿性腎症の治療:LDLアフェレーシス療法について

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名古屋大学医学部附属病院では先進医療として糖尿病性腎症に対して「LDLアフェレーシス療法」を行っています。

糖尿病性腎症の方の中でも、蛋白尿が多くLDLコレステロール値が高い患者さんでは腎機能低下速度が早いことが知られていますが、これまで有効な治療法がありませんでした。

「LDLアフェレーシス療法」は血液中のLDL(悪玉)コレステロールを取り除く治療法です。原則として12週間以内に6回~12回行います。

LDLコレステロールの低下することで、血液の粘調度が改善し、血清クレアチニンやアルブミン等の改善、尿中タンパクの低下などの効果に繋がります。このことにより、透析導入の回避や導入時期の延長等が期待できます。

9.LDLアフェレーシス治療の条件

LDLアフェレーシスを行うには条件があります。

 

臨床的に糖尿病性腎症と診断され,他の治療法でも改善を認めず,登録前 3 ヵ月 以内の 2 ポイント以上の

測定において各臨床検査値が以下の基準を満たしている患者さん

• 尿蛋白/尿クレアチニン比が 3 g/gCr 以上又は

   尿蛋白(蓄尿による 1 日量)が3g/day 以上

• 血清クレアチニンが 2 mg/dL 未満

• 薬物治療下で血清 LDL-コレステロールが120 mg/dL 以上

10.先進医療について

先進医療は、新しい医療技術のうちで将来的に保険診療への

導⼊の評価を⾏うものとして、厚⽣労働省が当該医療機関

および実施医師に対して保険診療との併⽤を認めたものです。

 

LDLアフェレーシスをご希望される方はまずは主治医にご相談してください。

 

名古屋大学付属病院LDLアフェレーシス連絡先

腎臓内科臨床研究事務局(052)744-2204

TELは10:00 ~ 14:00でお願いします。

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参考文献

1.わが国の慢性透析療法の現況(2020 年 12 月 31 日現在)

 https://docs.jsdt.or.jp/overview/

 第 1 章 2020 年慢性透析療法の現況 図1 慢性透析患者数(1968-2020)と有病率(人口100万対比,1983-2020)の推移

 第2章 2020年慢性透析患者の動態 図 10 慢性透析患者 原疾患割合の推移,1983-2020

 

2.日本内科学会雑誌第102巻第4号 脂質異常症

 https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/102/4/102_890/_pdf

 イラストでよく分かる糖尿病性腎

 https://www.jnj.co.jp/jjmkk/lifescan/patient/diabetes/pdf/handbook/jinsho_1503.pdf